
挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は首都圏から福井に拠点を移して挑戦を始められる羽根田 智子さん。越境して得られた学びを若者に向け届け続ける生き方と想いについて伺いました。
── 羽根田さんの現在の取り組みについてお聞かせください。
若者の楽しい学びの場を作ることを仕事にしています。学校外で社会とつながる学びの機会の創造を目指しています。プロジェクトは、ミニチュアのテーマパークで修学旅行団体が体験ができるワークショップの運営をしたり、子供たちのプログラミング、ロボットやAIなどのコンテストや研修会の企画などです。多様なバックグラウンドをもった方々と連携してプロジェクトを動かしています。

ミニチュアテーマパーク(SMALL WORLDS TOKYOより)
── 子供たちの学びに特化されたきっかけはありますか?
田舎出身の私の「どこに住んでいても、多様な学びの機会が得られたらいいな」という自らの原体験が軸となり、青少年の学びを支援すること自体が私のライフワークです。教育業界に関わり20年近くになります。会社員時代は会社の枠に在る教育コンテンツしか関与できなかったものの、フリーランスとなった今は所属のしがらみがないので、自分が共感できる想いのあるプロジェクトを手掛けているんです。
── そんな羽根田さんがStartupWeekend(以下SW)に関わるようになった背景は?
2016年にベネッセでSWが「教育」をテーマに開催されていたんです。実は当時、SWがいったい何か全く分かっていなかったものの、教育テーマのイベントや勉強会に何でも顔を出していたのです。「教育に関係したイベントだ!」と思って開催直前の締切後にも関わらず、問い合わせして滑り込み追加登録をしていただき、イベント趣旨の理解を深めないまま、突撃参加したんです(笑)
── 突撃参加の結果、如何でしたでしょうか?
圧倒されました。面白かったですね!週末だけという限られた時間の中で、知らないメンバーと力を合わせて事業を立ち上げるというプログラムがうまく設定されているところにまず感動しましたし、かつ熱量がとんでもなく高い方々との新しい出会いに魅了されました。参加した会の最終日には、「私も運営をやりたい!」と即立候補しました(笑)

SW東京Education(2016)
── 運営サイドへの熱はどちらから湧いていらっしゃいましたか?
元々、教育をテーマにしつつもイベント運営をずっとしていた身なので、仕事柄と言いますか、こういう場を創る方もやってみたくなったんですね(笑)もちろん、SWコミュニティに惹かれたのも事実です。
── コミュニティに惹かれた。
どう表現すればいいんでしょう。場に集った人たちに何かを押し付けずに、引き出して一体化させていくような空気感が心地良かったんです。当時の私は会社員暮らしに限定されており、コミュニティと呼ばれる集まりと特に接点をもっていなかったので、この感覚や環境は何なんだんだろうと興味本位で探求したくなっちゃったんです(笑)
── 会社と異なる存在としてのコミュニティ。
会社員であると会社と契約を交わして付き合うじゃないですか。お仕事と対価で約束を結ぶが故に、会社からは自分の意志ではない「やるべきだ」「こうするべきだ」といったべきべきが無数に降ってきて、納得しないものについても指示された作業をやらざるを得ないような文化圏とコミュニティとのギャップを強く感じたんです。
── そんな違和感に満ちていたSWを、羽根田さんが福井で開催しようと動き出されたのはどうしてでしょうか?
当時、東京と福井に拠点を持つ会社に所属していたということが大きいですね。ふと思ったんです。福井にいる自分の後輩たちに、このプログラムやコミュニティを体験してもらいたいなって。東京には機会が溢れているけれども、福井にはあまりなさそう。だからこそ福井で開催する価値があるんじゃないかと思ったんです。
── 福井で開催してみて、如何でしたか?
本当にやって良かったです。関わった人たち、みんながとっても喜んでくれたんですね。週末でアイデアをカタチにする、というコンセプトも明確で分かりやすかったですし、プログラムもやっぱり楽しかったですし、運営をサポートしてくださった方々からも面白かったという声をいただくことが出来ました。福井のSWをきっかけに、参加した後輩がグンと成長したように見受けましたし、この会がきっかけで継続的に東京や海外のSWに参加を挑戦し始める参加者も誕生しました。

中学生も登場してアイデアをカタチにしたSW福井(2017)
── そんな羽根田さんが、東京で「Robotics」をテーマにしたSWの企画運営を始められたのはどんな想いがあったのでしょうか?
私が当時、教育の中でもプログラミング教育やロボットを使ったエンジニア教育に携わっていたので、もし「Robotics」をテーマにすると、どんな新しい仲間に出会えるんだろう、って思ったんです。そこでサイボウズに所属している友人に声を掛けたら、SWに共感してくれてオフィスのオープンスペースを三日間お貸しいただけることになり、開催に向けて動き出したんです。
── Roboticsは様々なスタートアップや起業家が生まれた伝説の会ですね。
ですね!全自動たこ焼きロボットのオクトシェフもこの時に誕生したと思うと、その場に立ち会えたこと自体が感慨深いです。サイボウズの青野社長もゲストとしてお話をくださったり、Maker Faireとのコラボの機会に繋がったり、本当に良きご縁の重なりそのものです。

全自動たこ焼きロボットのオクトシェフ誕生(2017/04/14)
── 実はSW北九州やSW深センもRoboticsから始まったので、コミュニティ発展という意味でも意義深い会でした。さて、コミュニティの観点で、その熱量を持続させるには何が大切と考えていらっしゃいますか?
日々の出会いを楽しんで、味わって、大切にしていこう、だと思うんです。
── その心は?
コミュニティって人との繋がりに尽きると思うんです。人同士の化学反応が場をつくっている。それぞれみんな自分の軸、やりたいこと、お仕事や生活がある中で、コミュニティという磁石に引き寄せられて関わり合う関係性。だからこそ、コミュニティのイベント外であったとしても接点を持ち続けることが大切ではないでしょうか。SWはファシリテータ―のたくとさんの圧倒的な熱い想いが伝播していることは確実だと思います(笑)
── 自分は動き回っているだけですよ(笑)それはさておき、数多の接点を持って進んでいくアイデアをカタチにするプロセスは、何を大事にすべきと考えますか?
ないないない尽くしだからこそ、誰かのサポート、コミュニティの力を借りるべきだと思うんです。そもそもアイデアをカタチにすることは一人だけでは難しく大変。だからこそ相談して一緒に走れる仲間を早く見つけることが一歩だと思うのです。
── 遠くに行きたければ、共に歩む仲間を。
交渉が不得手ならその役目を担ってくれるパートナーを、会計が苦手ならお金に詳しい専門家を、技術に明るくないならテクノロジーのプロを、といった風に自分だけでは埋めきれないピース探しです。もちろん一人で突っ走れる方も稀にいらっしゃるんですが、大なり小なり他者の助けなくては前に進まない、と考えます。

仲間を見つけることができるSW福井コミュニティ
── そんな風にして、仲間と共にアイデアをカタチにするプロセスを支える立場の人は、どんな心構えを持っていることが望ましいでしょうか?
自分の幸せが相手の幸せから来る、人の成長を応援することに喜びを得られる人が向いているかと思います。自分が目立ちたい、自分が稼ぎたい、など、自分の得を前面に出すのではなく、自分が支援した人が活躍している様子を見て、幸せを見出せるようなタイプの方をイメージします。モチベーションは人それぞれなので、支援する中に各々の意味や意義を見出しながら協働できることが一番だと思います。
── 支援した方々の成功が自分の幸せ。とてもとても素敵です。支援者としても活躍を続ける羽根田さんは今後、ご自身でどのような挑戦を予定されていますか?
これまで東京を拠点にして福井や地方に足を運んでいたのですが、次は拠点を地方の福井に移してみようかなと考えてます。これまで自分に与えられてきた環境を大きく変えると何が起こるんだろうとワクワクします(笑)
── 福井に惹かれた理由はどちらにありますか?
土地勘がない、未開の地であることですね(笑)海外でもないし、完全なる異文化でもない。北陸文化に全く詳しくないからこそ、それを楽しんで自分の人生にも周りにも、新しい変化を起こしていけるんじゃないかと思うんです。フィーチャリングですね(笑)
── そんな羽根田さんと同じように、地域から新しい変化を起こしていこうと尽力する仲間が全国各地にいらっしゃるので、メッセージをいただけますか?
私は山口県の長門出身ながら、長らく関東圏に住んでみて、全国各地や時々海外に出る中で感じることがあるんです。それぞれの地域に良さがあるけれども、地元の中に居るだけだとそれに気付けないことも多いなって。
── 気付いていない地域の良さ。
自分たちにとっての当たり前は小さな世界の当たり前のことが多い。だからこそ慣れた環境から外に出て、新しい出会いや学びを得て、それをまた中に持ち帰る。外と中を行き来することで価値に気づけると思うんです。それにエゴに陥らずにも済むようになりますしね。なので私はリーダーシップ・プログラムに参加するなどして、積極的に海外とも繋がって学び続けるように心がけています。

Japanese Women’s Leadership InnitiaveでBabson大学で研修時の様子
── エゴに陥らずに済む。
今の自分にとっての当たり前を優先することで、自分の考えが正解だと思い込みが増え、結果として周りの人の嬉しさや幸せに気づきにくくなってしまう。だからこそ、橋渡し役を担うことでより多くの人にとっての良い器が出来上がる気がしているんです。
── 良い器とはなんでしょうか?
どんな人もそこにいていいし、関わっていいし、これをしなくちゃいけないというものはなくて、その中で間違ってもいいから、思い思いの取り組みをしてもいい。プレッシャーではなくて、これをやったら面白いかも!というポジティブな姿勢が友を呼び、幸せが伝播して肩の力が抜けて自然体でいられるような、そんなイメージです。ふわっとた表現ですいません(笑)
── 成否を判断しない器に共感しかありません。
いろんな人や取り組みがある。それこそが正に社会なので、SWの場がその縮図であったらいいなと感じるんです。あなたがそのまま参加してよくて、ありのまま受け止められて、あなたがありのままの結果を出すことができる場所、そんなコミュニティが地域にも広がっていくと本当に素敵だなぁって私は思うんです。
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